Bouquet!

暇な大学生です

2021.1.11

何もしてないので読んだ本について書く。

 

明るい部屋/ロランバルト

 やってるゲームの元ネタだったので読んだ。構造主義の旗手ってことしかバルトを知らなかったからこの本もそういう感じかと思ったら実在論めちゃめちゃ擁護してて笑った。文章のいたるところに作者の衒学趣味が出まくってて最高だった。隙あらばギリシャ語を出すな。内容は思ったほど難しくなくて二回ぐらい読んだら理解できた。面白かったんだけど、この本のせいでバルトのイメージが逆張りザコンおじさんになってしまった。合ってる?

 

服従/ウェルベック

 インテリぶりたいカスの大学生がこぞって読んでると聞いて急いで借りにいった。ちょいちょい出てくる皮肉っぽい文章と唐突に書かれるセックスシーンが面白かった。内容はまあ普通。ヨーロッパの人が読んだらめちゃめちゃ面白いんだと思う。

 

フィクションの哲学/清塚邦彦

 前読んだジャンマリーシェフェールの『なぜフィクションか?』が面白かったのでフィクション論の本に興味が湧いて買った。シェフェールがサールの立場だったのに対してこの本はウォルトンの立場で、別の見方から書かれてたので良かった。結局のところ「フィクションが何か?」という問いには語用論的な枠組みから答えるしかないというところはシェフェール(サール派)と共通しているが、ウォルトンは現実世界とフィクション世界の二重構造を認めるのに対してシェフェールはこれを認めないというところに違いがあるらしい。俺は正直どっちでもいいが、二重構造を認めないという思想の根本には感情的な問題がある気がして(「我々はフィクション的な涙を流しているわけでは無い」)なんだか警戒してしまう。ただ圧倒的に面白いのは『なぜフィクションか?』の方です。みんなシェフェールを読もう!現実世界とフィクション世界の二重構造を認めるな!

 

ナインストーリーズ/サリンジャー

 コネティカットのひょこひょこおじさんという話が良かった。主人公はしがない主婦で、高校時代の同級生(二人とも中退している)と家で飲んでいる。今のくだらない夫の愚痴とか昔の男との美しい思い出とかを言い合っているうちに泥酔した主人公は完全にスイッチが入る。完全にスイッチが入った主人公はめちゃくちゃする。メイドの家族に宿を貸すのを拒否して外に追い出す。駅で待つ夫の迎えを拒否する。気に入らない我が子に当たり散らす。ラストシーン、部屋に戻ってきた主人公は同級生に言う。「ねぇあの頃あたし良い子だったよね?」 美しい話だ。